廊下
2013-01-16


禺画像]

どこへいくのにも かつてわたしのこころをむしばんだ家と学校と病院をとおりぬけなければならない

さむくてさみしい まぶしくてさわがしい うしろめたくてぬかるむ長い廊下をひといきにかけぬけなくてはならない 勇気をもって はずみをつけて

とおりぬけることができたらわたしはわらってあなたにあえる なにもなかったようにすずしげに ひとのことばをはなせる

けれど廊下のとちゅうの壁からつぎつぎとつき出てくるおびただしい手がわたしの髪をみだし服をよごす ちいさな手もあればおとなの手もあるそれらはみんなわたしの手

ひるめば つかまる

ふりほどくのにつかれ おおかたすごすごと引きかえしてしまうわたしに勇気がたりなくて てきせつな助走がたりなくて

あえないひとをおもいながら びょうびょうと 歳月のながれる音をきいてきた






























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[詩]

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