詩/よあけ
2024-06-21


よあけ



よあけ 1


孤立は徹夜明けの悪寒

冷たい霧が皮下を流れ
看取られなかった細胞たちが
掃かれている

私という過疎のむらに
ときおり訪れる幻の楽隊

幽遠な楽想そのものの

川べりをゆく




よあけ 2


パレードの道には
うすくれないの
死者たちの耳が満開だ

満開という連帯のよいかおり

聴いているのは
奏でるものの真剣な無言

朋によく似た
最後尾の楽隊員が風になるころ

草陰に
蒔絵の笛が落ちている












2021 『舟』39号より
[詩]

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